熱分解ガス化灰溶融

日本の焼却技術

焼却施設

石油は自動車燃料に使えば1回使うだけで無くなってしまいますが、 石油製品であるプラスチックは1度社会に役立てた上で、ごみになったら サーマルリサイクルにより電気にして再利用することができます。 熱分解ガス化灰溶融技術はこれからの技術開発によってごみ処理の主体と なり得る可能性がある、環境保護にも繋がる技術になるでしょう。 ダイオキシン類は、焼却温度800℃以上、滞留時間2秒以上、 完全燃焼のためのCO濃度100ppm以下という燃焼条件の中で熱分解します。 さらに集じん機での再合成を防ぐため、集じん機の入口排ガス温度を200℃ 以下に下げるよう法律で規制しています。 日本の焼却技術は世界でもトップレベルにあるため、このダイオキシン対策の 技術もいちはやく確立されており、ヨーロッパやアメリカ、台湾などへ日本の 大型ごみ焼却プラントが輸出されています。 ダイオキシン類はプラスチック類だけでなく、生ゴミに含まれる食塩によっても 発生します。 魚や肉、野菜などに含まれているダイオキシンは、 埋めて処理した場合そのまま土中に残りますが、 焼却炉で熱分解すればダイオキシン濃度を減らすことになります。 つまり管理された焼却施設は、ダイオキシンを発生させる施設などではなく、 むしろダイオキシン削減施設とも言えるでしょう。

東山クリーンセンター

長野県北信保健衛生施設組合の東山クリーンセンターは世界最小のごみ発電所です。 東山クリーンセンターは、長野冬季オリンピックに備えてオリンピック開催 期間中に排出されるごみも含め、年間2万トンを焼却処理できるように設計 された施設です。 この施設の最大の特徴はダイオキシン類を削減するための様々な先端技術と、 1日65トンという規模でごみ発電を行っていることです。 また廃熱を利用して隣接する市道約1キロの融雪も行っています。 施設の内容は処理能力1日65トンの中型ストーカ式焼却炉が2基で、 各系列ごとに廃熱ボイラと発電設備が設置されています。 発電出力は1炉につき110キロワットとなります。 ダイオキシン対策としては、プラスチック類の燃焼条件を満たしていることは 当然のことで、ダイオキシン生成の触媒効果を持つ飛灰中の重金属対策でも 新しい処理技術を導入しています。 排ガスの冷却も廃熱ボイラで熱回収を行っており、バグフィルター入口での 排ガス温度は約155℃と、ダイオキシン類の再合成を防止できる水準です。 この結果ダイオキシン濃度は非常に低く抑えられ、日本でもトップレベルの ゴミ処理施設といえます。 東山クリーンセンターはダイオキシン対策では世界に誇れる施設であり、 今後も中小の自治体にとっても貴重な参考事例になるでしょう。

スーパーごみ発電

廃棄物対策としてのごみ発電は注目されています。 サーマルリサイクルの手法、その中でも最近特に大きな注目を集めているのが スーパーごみ発電という技術です。 スーパーごみ発電とは、ガスタービンで蒸気を高温高圧化する最新の技術 を使い発電効率を高めるものです。 例えばごみの処理量が1日600トンでごみ発熱量が1kg当たり 2,800キロカロリーの焼却炉では、1万2千キロワット程度の発電ができます。 これに7万8千キロワットのガスタービンを設置して排熱で蒸気を高温高圧化 すれば、2万2千キロワットを余分に発電することが可能となり、 11万2千キロワットのスーパーごみ発電ができることになります。 2万2,500キロワットも発電が増えるということは、1,000トン 規模の清掃工場でごみ発電を行ったのと同じ効果に相当します。 さらに熱分解ガス化炉を用いてスーパーごみ発電を行えばその効果は高まり、 現在世界一の発電量を持つアメリカのペンシルベニア州の施設のごみ1トン 当たり886キロワットを上回って、1,200キロワット規模の発電さえ 可能にもなるのです。 1世帯4人家族で1年間に出すごみの量を平均1.2トンとすると、 これをスーパーごみ発電で処理すれば発電量はおよそ1,500キロワット、 家庭の出すごみだけでその家庭の消費電力1年分が賄える計算になります。