家庭用焼却炉の注意点

ダイオキシンの毒性

ダイオキシンのイメージ

ダイオキシンの毒性がテレビなどマスコミで騒がれだした時、政府もそれに対する 規制を設けました。 毒性のある物質であるからこそ当時はマスコミでも大きく取り上げられたわけで、 環境問題に敏感な人達も騒いだわけです。 ダイオキシンは発がん性を高め、胎児に異常を与える毒性があると言われており、 実際に動物実験ではそのような結果が出ています。 その毒性に疑問を唱える声があるのも確かですが、毒性があることに間違いなく できるだけ避けて身を守るべきでしょう。 当時は超猛毒と言われていたダイオキシンですが、そこまでの毒性はないにしても 身体に悪影響を与える物質です。 食品にかけるラップも、全てのラップで発生するわけではありませんが、 ラップを付けたまま電子レンジで温めるとダイオキシンは発生します。 このように極端な摂取にならなければ、それほど人体に大きな影響を与える 物質ではないのかもしれません、ということです。 少量ならすぐに悪影響が身体に現れることもないのでそれほど過敏になることも ないでしょうが、出来るだけ回避したほうがいい物質なので、 あえて自宅の庭で発生させる危険を冒すような事はしないほうが良いでしょう。

煙や臭い

家庭用焼却炉ではダイオキシンなど有害物質を含むようなものは避けて、 落ち葉や枝樹、紙類を燃やすために使うのが正しい使い方です。 この使い方であれば煙や臭いも少なく、家庭用焼却炉も大活躍となります。 臭いが出ないのは高温によって臭いの元が分解されるといった理由からですが、 焼却炉はいきなりそんな高温になるわけではありません。 枝樹など燃えにくいものであればなおさら高温になるのに時間がかかりますので、 使い始めは煙や臭いが気になるかもしれません。 最初は臭いや煙の少なそうなゴミを燃やし、高温になってきたら煙の出そうな 枝などを燃やすようにします。 最近ではエコに配慮した薪ストーブも市販されています。 これはさまざな規制をクリアした商品であり、薪を燃やした煙はそのまま煙突 から出るようなものではなく、浄化装置が付いています。 煙を浄化する仕様になっているからといって全く煙がでないわけではなく、 燃やしている薪によっては低温燃焼のために煙が出ることもあります。 どちらの場合も近所に対する配慮、普段からのお付き合いや関係作りも大切 になりますので、家庭用焼却炉で剪定した枝樹などを燃やす際にはお隣さんに 一言声を掛けてから、といった気遣いも必要でしょう。 自分は煙や臭いは気にならないから、とむやみに煙や臭いを住宅街で発生 させるのは、迷惑な住民となってしまいますので控えましょう。

焼却技術とダイオキシン対策

現在の焼却炉には大きく分けてストーカ式焼却炉と流動床式焼却炉の2種類が あります。 都市ゴミの場合焼却に使われている焼却炉の約8割はストーカ式焼却炉ですが、 近年では熱分解ガス化灰溶融ごみ処理プラントという次世代型のごみ処理技術も 登場してきました。 これは生ごみを約500℃酸素ゼロの状態で蒸し上げて、その際に発生する 熱分解ガスを使って木炭化した熱分解残渣を約1,300~1,450℃の 高温で溶融する技術です。 溶融後のスラグも路盤材などに使えばゴミ埋立地が不要になりますし、 余った熱分解ガスは燃焼炉で燃やして熱回収することでごみ発電も可能です。 この技術の特長は処理コストが非常に安く、ダイオキシン類濃度も非常に 低くできる環境に優しい技術ということです。 国はダイオキシン対策として、施設規模が1日100トン以上処理できる 大型の焼却炉でなければ補助金を出さないという条件と、 新設炉は灰溶融炉を付設すること、という通達を出しています。 現在日本で稼働している単独の灰溶融炉は、無機物となった灰を溶融 するために油や電気など膨大な外部エネルギーを必要としていますので、 灰1トン当たりの処理費が約5万円~15万円必要となります。 ごみ自体からの熱分解ガスを燃料とする熱分解ガス化灰溶融炉の場合は、 油や電気などによる外部エネルギーが不要のために処理コストが安価になります。